自己破産の際の資産・財産の処分について

自己破産の際には、所有する財産を金銭に換えて(換価処分)、債権者に分配する必要があります。
処分の対象となるのは、家や土地、車や宝石といった不動産や動産だけでなく、各種債権などの無形のものも含まれます。
特殊な例ですが、もし換価できるなら、著作権なども対象となります。
しかし、今挙げたものはあくまでも「対象となりうるもの」であり、自己破産の手続きにおいて、そのすべてが処分されてしまうわけではありません。
企業と違い、人間からすべての財産を取り上げてしまえば、たとえ借金が帳消しになっても、日常生活を続けることができなくなってしまいます。
これでは、その後の経済的更正はおろか、生きていくことさえ難しいですから、自己破産の意味がありません。
ですから、個人の場合は「自由財産」という財産については処分しなくても良いという決まりがあります。
この自由財産には、次のようなものがあります。
まず一つ目は、法律で「差し押さえをしてはならない」と定められている財産です。
これは破産した債務者の生活に欠くことができないとされるものです。
たとえば最低限の衣服や家具、食料や燃料といったものを基本として、農業を営んでいるならその仕事に使う器具や肥料、漁師であれば網などの漁具や餌、といった具合に、個人ごとに必要なものが加わります。
さらに、年金や恩給、生活保護などの給付請求権などの債権も差し押さえることはできません。
どんな家具や衣服がいくつ生活に必要か、という判断は裁判所によって変わりますが、一般的にはタンスや食器棚といった家具は数に関係なく認められる一方で、テレビや電子レンジ、エアコンや洗濯機などは一点までしか認められないことが多いようです。
二つ目は、破産管財人が破産財団から放棄した財産です。
財産を処分するのは自己破産した者への罰ではなく、あくまでも換価のためですから、処分しても何も得られないようなもの、むしろ処分の方にコストがかかってしまうようなものは処分する意味がありません。
したがって、破産管財人が放棄しても良いと判断したものは自由財産となります。
三つ目は、破産手続きの開始が決定してから新たに得た財産です。
処分されてしまうのは自己破産の手続きの開始が決定した時点で所有していた財産ですから、その後に新しく得た「新得財産」が処分されることはありません。
ただし、これは日本の場合であり、海外では新得財産も処分対象とする国もあります。
四つ目は、一定額以下の現金です。
前述の差し押さえ禁止とされている財産の中には、「標準的な世帯の二ヶ月間の生活費」に相当する現金が含まれます。
これは66万円となっていますが、破産法では「この額に2分の3を乗じた額」までは自由財産として認めています。
したがって、自己破産の際には、99万円以下までの現金は処分されません。
ただし、対象となるのは現金だけであり、預貯金は含まれません。
五つ目は、裁判所により「自由財産の拡張」という形で認められたものです。
ここまで挙げたもの以外でも、裁判所が事情を考慮して「それも自由財産に含まれる」と認めてくれれば、自由財産となります。
少額の預貯金などについては、これによって自由財産となる可能性があります。
実際に何が対象になるのかは裁判所によって大きく変わってきますが、中には「これらは自由財産として認めて良い」というリストを作っている所もあります。
これは毎回同じような判断をしなくてもすむようにするためのものですから、これ以外は絶対に認めない、というわけではなく、リストに無いものであっても自由財産として認められることはあります。
自己破産をしても、これらの自由財産は手元に残るということになります。
逆に言えば、こうした自由財産以外はすべて処分されてしまうということです。
これは自己破産という方法を選ぶ際の大きなデメリットとなります。

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