自己破産で土地はすべて処分されるのか?共同名義やローンが残っている場合は?

自己破産の手続きを行う時、所有している不動産(土地・建物)は財産・資産とみなされ、原則すべて売却した後、債権者に分配されます。 しかし、債務者と共同名義の土地である場合や、住宅ローンが残っている場合、また競売で買い手がつかないような不動産(土地・建物)であった場合、どうなるのでしょうか? 固定資産税や自己破産後の住宅(家)など、その後の生活も踏まえて解説します。

自己破産したら所有している不動産(土地・建物)はどうなるのか?

所有している不動産(土地・建物)は差し押さえ、競売・任意売却(※)などによって手放さなければなりません。

※競売とは?
債務者が借金やローンなどによって生じた債務を支払えなくなった場合、債権者が裁判所に申立をし、債務者の土地や建物などの不動産を差し押さえ、強制的に売却を行い、債権の回収代金に充てることをいいます。

※任意売却とは?
債務者と債権者の間に、不動産コンサルタントなどの専門家が介入し、債務者の合意を得て、土地や建物などの不動産売買を行うこ とを指します。「競売」より、「任意売却」の方が、市場に近い価格で不動産の売却が可能であったり、手続きも煩雑でなかったりするため、債権者にとっては便利な方法と考えられます。

自己破産制度は「所有している財産を全て売却し、弁済すること」ですので、不動産(土地・建物)という財産を残した上での自己破産はありえません。対象は自宅・親から相続した土地・家屋・田畑なども含み、個人の所有する土地・建物全てが対象です。

一部例外が発生することもありますので、ご自身のケースでどうなるかは専門家である弁護士にご相談ください。不動産(土地・建物)を所有している場合など、自己破産や債務について無料でご相談に応じます。

不動産(土地・建物)の売却価格は「固定資産税評価通知書」や「査定書」で確認可能

自己破産する際に、不動産(土地・建物)の売却価格を調べて、自己破産の原因である借金返済にどの程度、充てられるのか知っておくことは大切です。土地や建物の売却価格は、市役所で発行している「固定資産税評価通知書」で確認することができます。また、不動産業者に鑑定してもらい、売却価格を調べて「査定書」をもらうこともできます

※査定書とは?
自己破産をする債務者が土地、建物などの不動産を所有している場合、裁判所に自己破産の申立書を提出する際に、「査定書」を添付して裁判所に提出しなくてはなりません。

なぜ「査定書」が必要なのか? といえば、債務者の不動産に、「どのくらいの資産価値があるのか」、裁判所が判断できるようにするためです。

不動産の一般的な価格は、専門の不動産業者に査定してもらわないとわからないため、自己破産の申立をする前に、不動産業者に債務者名義の土地、建物を査定してもらう必要があります。

不動産を所有していて自己破産をしようと思う場合、事前に弁護士に相談することをおすすめします。もし、自己破産という選択をした場合にも、こちらの「固定資産税評価証明書」は裁判所に提出しなければいけないので取得しておくとよいでしょう

※固定資産税評価証明書とは?
「固定資産税評価証明書」は、債務者の住宅、土地がある各市町村役所で入手できます。この「固定資産税評価証明書」は、総務大臣が定めた固定資産評価基準に基づき評価した価格を市長が決定したものです。この評価額に基づいて不動産の課税額も決定され、国定資産家台帳に登録されています。

自己破産の場合は、「固定資産税評価証明書」に記載されてある評価額に準じて土地や家屋などの建物を売却する価格も決まってきます。

土地を所有していると、自己破産の申告時に「管財事件」になるのが従来でした。しかし、現在では「被担保債権>査定書の不動産価格×1.5+土地の固有資産税評価額×2」を満たせば同時廃止事件とされ、そうでない場合でも、「被担保債権>査定書の不動産価格×1.5」を満たせば同時廃止事件となり管財人を立てる必要もなくなります。

※管財事件とは?
破産手続きを開始した後、管財人が選任されて、破産手続きが進められることを指します。「管財事件」になると、破産手続きを無視して、債権者は勝手に取り立てを行うことはできません。

差し押さえられた不動産(土地・建物)は競売に。しかし任意売却の方がメリット大

自己破産により差し押さえられた不動産(土地・建物)は通常、競売にかけられます。一般に競売より任意売却の方がメリットもあると言われており、競売は裁判所が「せり」の形で、もっとも高い購入価格を提示した希望者が落札するという形で進められます。一方、任意売却は一般に破産管財人が不動産業者を介して、購入者を募集して交渉の上、売却を進める、という方法が取られます。

任意売却のメリット

任意売却の一番のメリットは売却価格です。任意売却では、市場価格に近い金額で取引され、競売では市場価格の5~7割程度の価格で取引されてしまうといわれています。

また、競売では引っ越し費用の捻出は難しいですが、任意売却では債権者と交渉の上、引っ越し費用や弁護士費用を捻出することもできます。弁護士費用の捻出という意味でも、任意売却の方がメリットも大きいでしょう。

また、競売では、裁判所のホームページや新聞、インターネットなどで自宅が競売にかけられていることが知人や隣人にも知られ、同時に自己破産や弁護士に相談していることまで知られる可能性もあります。

競売のメリット

自己破産をする際、不動産の売却は任意売却の方が圧倒的にメリットは多いです。とはいっても、競売も多少のメリットはあります。まず、競売は住宅ローンなどの残った債務がある場合、競売後、返済分がゼロになることです。

競売にかけられた後でも、競売開始通知書が届いてから退去までの期間が、任意売却に比べてやや長いといえるでしょう。競売の場合は、競売手続きが終わり、不動産が売却されるまので期間を考えると、半年から8か月程度、長く住むことが可能な場合もあります。

ケーススタディ1:値段のつかない不動産(土地・建物)の場合

稀に値段のつかない土地や建物は処分されない、というケースがあります。土地や建物の価値が極端に低く、値段が付けられない、という場合です。この場合は裁判所も差し押さえせずに、債権者が引き続き所有する事が認められます。

値段のつかない不動産(土地・建物)の例

競売に出ている不動産物件の中には、入札者がなかなか現われず落札されない場合もあります。例えば、時価1億円の物件が競売で2,000万円でも売却できなかった場合、再度、値段を下げて、競売にかけられます。値段をさらに下げても売れない場合は、競売が取り下げられ、競売前の状態に戻ります。

このとき、自分の持ち家にそのまま住み続けることはできますが、残務は残ったまま。ですから、競売が取消になった後は任意売却になり、新たに買い取ってくれる相手を探すことになります。直接、債権者と交渉するのは骨折り損なので、管財人である弁護士に相談するようにしましょう。

競売にかけて落札できない不動産(土地・建物)を所有した場合、固定資産税が高額になるケースがある?

競売できない不動産は差し押さえられても、所有権はまだ債務者にある状態です。自己破産しても固定資産税など税金は免責になりませんから、当然、固定資産税の支払義務が生じます。

ただ、値段のつかない不動産を所有しており、競売にかけて落札されなかったからといって、高額な固定資産税を払うケースはありえません。なぜなら、競売で落札できないと競売中止となり、任意売却にする場合は、売却価格から固定資産税が弁済されるからです。

ただし、不動産が競売にかけられる債務者は、税金を滞納する傾向にあるので、競売で値段を下げて最終的に落札された場合、遅延損害金として固定資産税の金額が膨らむケースはあります。

ケーススタディ2 所有の不動産(土地・建物)が共同名義の場合

共同名義で土地、建物などの不動産を所有していて、自己破産で競売にかけられる場合、債務者本人が所有する部分だけ換価手続が行われ売却される方法があります。例えば兄弟で土地、建物と1/2ずつ所有していて、兄が自己破産したとします。この場合、兄の持ち分だけ競売にかけられます。

しかし、普通に考えて、自己破産によって1/2だけ不動産が競売にかけられても落札される可能性はかなり低いでしょう。弟が自己破産した兄の分を買い取ることもできますが、買い取るだけの資金がなければ成立しません。
そこで共有名義の不動産を競売にかける場合、大きく分けて次の2つケースが一般的です。

  1. 自己破産者が共同名義の相手の了承を得て、全部の不動産を売却する。
  2. 自己破産者の持ち分を売却し、有名義の人が買い取る。もしくは買取ってくれる相手を探す。

共有名義の不動産を自己破産で売却する場合は、自分の意思だけでは片付かない問題も多いので、まずは専門の弁護士に相談をし、スムーズに手続きが進むように努めることが大事です。

ケーススタディ3 住宅ローンが残っている場合

住宅ローンが残っている場合、自己破産をしたからといって、すぐに競売にかけられるとは限りません。通常、自己破産者が住宅、土地を所有している場合、裁判所が破産管財人を選任します。自己破産者は管財人に払う費用として、裁判所に予納金を納めなくてはなりません。原則として、予納金の額は負債総額5,000万円以下です。
ローンを支払い中の住宅は、破産管財人が任意売却か競売をし、その代金を破産財団に組み入れることになります。破産者は所有している土地、住宅が売却されるか、もしくは競売手続きが終了するまで住み続けることが可能です。どのくらいの期間、住み続けられるかは状況次第で異なりますが、平均すると半年から長くても8か月程度だと思われます。

また、現在、自分が所有している住宅にどうしても住み続けたい場合、一定の条件を満たしていれば、自己破産ではなく個人再生手続きも可能です。個人再生であれば住宅ローンを残しながら、自分の住宅、土地を守ることもできますが、詳しい内容は弁護士に相談してください。

「自由財産の拡張」で自己破産後も自宅に住める!?

自己破産は破産者の債務が免責されるのと引き換えに、財産が処分されるシステムです。通常、債務者の財産を差し押さえ、売却して現金化したうえで、債権者に配当されますが、破産者の全財産が取り上げられるわけではありません。

破産手続きをしても、処分されず残る財産があり、こうした財産を「自由財産」と呼びます。なかには、破産をしてもそのまま自宅に住むことが可能なケースもあります。では、一体、どのような財産が「自由財産」と認められるのか、具体的に説明していきましょう。

「自由財産」とは?

破産者の生活に最低限必要と思われる家具、家電品、衣類、寝具、台所用品、現金などの総額が99万円までは処分の対象外とされ、これらが自由財産と呼ばれる物になります。自由財産として認められる判断基準は、各裁判所によって若干異なるケースもあるので、弁護士に相談のうえ確認しておくことが適切です。

自由財産の拡張手続きは審査が厳しい

自由財産として認められた財産以外にも、「自由財産の拡張」といって、裁判所の許可がおりれば、自由財産として扱われるケースがあります。例えば、自動車がないと生活できない破産者の場合、自動車の所有が「自由財産の拡張」によって認められることがあります。

「自由財産の拡張」は各裁判所によって、また破産者の状況によっても判断基準が多少異なります。ただ、「自由財産の拡張」をどこまで認めるのか?となると、実際は非常に難しいものがあります。破産者にそれ相当の理由があったとしても、自由財産の総額が99万円を超えると、自由財産の拡張を認められるケースは非常に少ないといえます。各裁判所の自由財産の拡張基準は弁護士が把握しているので、自己破産の検討をする前に確認しておくとよいでしょう。

自己破産を検討しているなら弁護士へご相談ください。

自己破産申告は自分でもできないことはありませんが、素人が行うには膨大な知識と労力、時間が必要になり、現実的ではありません。自己破産を検討しているなら、決して無理をせずに、弁護士に依頼することをおすすめします。

弁護士に申告を依頼するメリット1

弁護士が破産管財人となり、自己破産後も考慮した土地・建物の売却なども含め、自己破産の手続きに関わる面倒な作業が迅速かつ丁寧に行われます。その結果、債務者は煩雑な作業から解放され、新たな生活への準備に専念できるようになります。

弁護士に申告を依頼するメリット2

通常、自己破産手続き開始決定までおよそ2~3か月かかります。しかし、弁護士が破産者の代理人(破産管財人)になっている場合、「即日面接」という制度が適用され、自己破産申告を行ったその日に裁判官と弁護士(代理人)が面接を行い、「支払不能」の判断が下されたると、自己破産開始決定がなされます。土地を巡った交渉と自己破産の申告を同時に行っている場合、弁護士に依頼することでこの制度を利用できることは大きなメリットになります。

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