個人再生を弁護士に依頼するメリット
〇この記事を読むのに必要な時間は約4分27秒です。
そもそも借金などの債務を整理する主な方法としては、
Contents
①任意整理
②自己破産
③個人再生
があげられます。
イメージがわきやすいのは、
①任意整理:原則債務の全額を分割で支払う裁判外の手続き
②自己破産:原則債務の全額が免除される裁判上の手続き でしょうが、
③個人再生はいわばその中間的な、原則債務の5分の1~10分の1程度を分割で支払う裁判上の手続きになります。
個人再生は、上記のように債務を大幅に圧縮してくれる制度ですので、経済的に立ち直るには大きな武器となってくれる制度です。
この点、そもそも自己破産すれば債務全額が免除されるのに、わざわざ一部を支払わなければならない個人再生手続きをとるメリットって何?と思われるかもしれません。
自己破産のデメリット
まず、自己破産のデメリットの一つとして、資格制限の問題があります。主に士業といわれるような職業に就いていられる方はその資格が失われることがありますが、個人再生にはそのような資格制限がありません。そのため、資格が失われるのを防ぐため個人再生手続きをあえてとる方がいらっしゃいます。
また、自己破産の場合には原則として価値のあるものは売却されることになります。債務が全部免除される代わりに、財産もすべて処分し、債権者に分配するのが公平だからです。
しかし、人によってはどうしても自動車や何か価値のあるものを残したい方もいらっしゃるでしょう。その点個人再生においては,自己破産と異なり,財産を強制的に換価(売却)されることはありません。財産をもったまま個人再生をすることが可能なのです。(もちろん、その分個人再生手続中に支払う総額は増えます)
住居をお持ちの方
そして住宅ローン支払い中の住居をお持ちの方にはさらに大きなメリットがあります。こちらのメリットを理由として個人再生手続きをされる方が一番多いでしょう。
住居をキャッシュ一括で買える方はなかなかいないでしょうから、たいていの方は住宅ローンを組んで購入する不動産に抵当権(担保)をつけるのが普通です。
20年~35年といった長い年月をかけて住宅ローンを支払ってめでたく担保を消してもらう。
万が一支払えなくなってしまった場合には、抵当権者(銀行等)がその抵当権を実行して不動産を売却し、その未払い分のローンの回収をするという仕組みです。
住宅ローンの支払いが困難になった方のほとんどは、住宅ローン以外の借金も多くあるのが一般です。もしこの住宅ローン以外の借金が少なくなれば住宅ローンは支払えるのにという方も多いでしょう。
そのような方たちにとても有効なのが、個人再生における住宅資金特別条項(いわゆる住宅ローン条項)という制度です。
住宅資金特別条項(いわゆる住宅ローン条項)
まず大前提として、この条項を利用しないで個人再生をすれば住宅ローンも大幅に圧縮されていいじゃないかと思われるかもしれませんが、残念ながら住宅ローンは上記のように抵当権という担保を持っているので、支払いが滞れば再生手続きとは関係なく抵当権を実行し売却されてしまいます。
しかしながら、住宅は経済的に安定した生活の基盤となるものです。そこで政策的に作られたのが、住宅資金特別条項、すなわち「住宅ローンは今まで通り支払いつつ,それ以外の借金は個人再生手続で圧縮された金額を分割で支払っていく」という制度なのです。
住宅ローンは今まで通り支払っていくので住居を失うことはありませんし、住宅ローン以外の債務は大幅に減額され分割で払っていけばよいことになります。「住宅を失わなくて済むかもしれない」というのは大きなメリットですよね。
上記のように個人再生には債務者にとって大きなメリットがある債務整理手続です。
ただ、一方で、原則財産をすべて手放す自己破産と違って財産を一部手元に残すことができうる制度ですから、その分手続きも非常に複雑となっています。一つ手続きにミスがあれば再生手続が認められないこともありますし、認められても手続きで支払う総額が大幅にアップしてしまうことにもなりかねません。
個人再生手続をお考えの方は、専門家である弁護士、特に個人再生手続に精通している弁護士に依頼されることを強くお勧めします。

大江戸下町法律事務所

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