自己破産でも保護される!所有が認められる自由財産とは
〇この記事を読むのに必要な時間は約4分2秒です。
自己破産手続きは所有している財産を処分して借金を清算し、すべての借金をゼロにする手続きです。法律に基づいて借金の面積が行われる手続なので効力は非常に大きく、膨大に膨れ上がって返済不能に陥った借金でもきれいさっぱり生産することが可能です。
自己破産の目的は破産者の新たな人生の歩みを支援するためであり、新たな人生をスタートさせるために必要な財産に関しては破産手続きの対象に含まれません。破産手続きの対象に含まれない財産のことを自由財産と呼び、自己破産手続きを行う場合でも自由財産については借金の清算にあてることはできません。
主な自由財産としては以下のようなものが含まれます。
最も重要なお金に関しては、99万円以下の現金と残高が20万円以下の預貯金が自由財産として認められています。以前は厳禁は66万円以下だったのですが、制度改定により99万円までが自由財産として認められるようになりました。自己破産手続き後もこれだけのお金の所有が認められていますから、約198万円程度の資産を所有した状態で新しい生活をスタートすることが可能です。99万円というのは厳禁で手元に所有しているお金のみが対象ですが、自己破産手続き直前に預貯金を引き出して現金化した場合などは自由財産として認められない可能性があります。逆に言うと手続き直前に手持ちの99万円をすべて銀行に預けてしまうと自由財産として認められるのが20万円になってしまいますから、自己破産が決定的になった時はなるべく現金でお金を持っていたほうがいいということになります。
健康的で文化的な生活を送るのは憲法で認められた権利なので、生活に必要な財産に関しては法律で差し押さえが禁止されています。衣類や家電など通常の生活に必要な生活必需品については法律によって差し押さえが禁止されている財産なので、自由財産として引き続き所有することが可能です。ただし、高級な家電やブランド品など生活に必要と認められないものに関しては処分対象の財産と認定される可能性があります。同じ家電が複数ある場合も処分の対象になります。大工道具など仕事上必要な道具に関しても生活の維持に必要なものなので自由財産として認められます。
自己破産で処分の対象になる財産は、自己破産手続きの申し立てをして破産手続の開始が決定された時点で所有していた財産のみです。破産手続開始決定後取得した財産に関しては処分の対象にはならず、自由財産として認められます。例えば手続き開始後に支払われた給料に関しては自由財産に含まれるので、差し押さえられることはありません。
破産手続開始以前から所有していた財産でも、裁判官が必要と認めた一部の財産に関しては自由財産に含まれることがあります。裁判官の職権によって対象の範囲が拡大されるためケースごとに判断は分かれます。
民事執行法で定められた所定の差し押さえ禁止債権に関しては自由財産の対象です。賃貸敷金債権や電話加入権、払い戻し見込みが20万円以下の生命保険解約返戻金等が含まれます。退職金も差し押さえ禁止債権なので自由財産に含まれますが、20万円をこえる支給見込額の3/4~7/8のみが対象になり全額ではありません。退職金の取り扱いは裁判所の判断によって異なるので、事前によく確認しておくことが必要です。
その他破産管財人が不要と判断して放棄した財産に関しては自由財産とみなされるので、引き続き所有することができます。
自由財産は自己破産した人の生活を保護するためのものであり必要最低限の財産ということになっていますが、全てを合わせると結構な金額の財産が保護されることになります。現金と預貯金の取り扱いが異なるなど分かりにくい部分も多いので、事前に対象になる財産がどのくらいあるのかよく調べてから申し立て手続きを開始してください。
The following two tabs change content below.

大江戸下町法律事務所
当事務所は、平成16年4月に開業し、弁護士1名、事務スタッフ3名でスタートしました。平成22年には、業務充実のため法人化し、支部を構え、現在弁護士8名(東京7名、柏1名)及び事務スタッフ10名強にて運営しております。いずれのオフィスも駅近で交通至便です。
|当事務所の弁護士紹介はこちら
事務所名は、先祖代々下町で暮らしてきた私の発想(我儘?)でつけました。
当事務所は「正しい人を守る」ための弁護士活動をしています。お金持ちにも、正しい人悪い人いずれもいますし、弱者にも、正しい人悪い人いずれもいます。いずれであっても、正当な人の正当な利益のために働きたいと考えております。
子細なことであっても結構です。お気軽にご相談ください。

最新記事 by 大江戸下町法律事務所 (全て見る)
- 2度目の自己破産であったが免債を得ることができた事例 - 2022年3月12日
- 自己破産で依頼を受けたが、時効により破産申立することなく解決した事例 - 2022年3月12日
- 免責が認められる場合とは? - 2021年6月9日
関連記事はこちらをご覧ください。
