私的整理とはいったい?
〇この記事を読むのに必要な時間は約3分58秒です。
自己破産と違って私的整理をした場合、対象となる金融機関に限定できます。自己破産と違い私的な整理なので、法律で方法が決まっているわけではありません。なので、自己破産とは違って金融機関に限定して債務整理が可能となります。金融機関のみが対象ですので、商品の仕入れ先など一般の債権者を巻き込むことなく事業再生ができます。それだけ事業価値も維持できるというものです。
自己破産と違い私的整理は法律に基づいて整理するのではなく、整理方法は債権者と債務者の合意さえあれば、自由に決定できます。
私的整理の場合は、私的整理ガイドラインというのがあって、このガイドラインでは数か月後に整理終了ができます。
私的整理と一口で言っても、メリットとデメリットがあります。
自己破産でなく私的整理をする場合には、その辺りをよく考えた上で手続きを進めて欲しいものです。
私的整理は一般的に法的整理より短い時間で手続きが終了できます。
自己破産や民事再生、会社更生などの場合は、手続き開始決定されますと、各債権者に通知が出され、公告されます。なので、手続きを行っている事自体を秘密にすることが不可能です。
また、法的整理の場合には、申し立てをした会社から裁判所に出されている書類を見たり、コピーしたりすることができます。なので、会社の経営情報や財務情報が債権者や取引先に知れてしまいます。
ですが、自己破産と違って私的整理の場合には、こういったことはなく秘密を守ることができます。
次に私的整理のデメリットを書いてみたいと思います。
法的整理の場合には、法律で決められている数の債権者の他に、一定額以上の債権を持っている債権者の同意さえあれば、一部の債権者に異議があったとしても、再建計画を進めていくことができます。
また、債権者が勝手に差し押さえをするなどの個別の権利行使も禁止されています。
ですが、私的整理は法的強制力があるわけではありませんので、会社から提示された債務整理案に反対の債権者がいた場合は、その債権者を拘束する事は不可能です。反対する理由がどんなに理不尽なことであっても、どうしようもできないのです。
その結果、私的整理をする場合には、原則として債権者全員の同意が必要です。
私的整理の場合には、裁判所が関与していなく、手続きを自由に進める事が出来るので、再建計画案により一部の債権者が有利な条件になっていないか、経営者や株主に対しての責任追及がちゃんと出来ているか、第三者が不当な利益を得ていないか・・・などを法的整理ほどチェックすることは難しいです。
税金の処理がどうなのか不明確であるという点は、よく問題となっています。
法人税基本通達というのがあって、この中で民事再生法に基づいて再生計画認可の決定や、会社更生法に基づいた更生計画認可の決定によって、債権者の債権がカットされることになった場合には、このカットされた債権を債権者が貸し倒れとして損金に繰り入れることが出来ると決まっています。
しかし、私的整理の場合には、債権者が債権放棄したということで、それにより生じた損害を債権者が損金処理できるのかどうかは、当該債権放棄等が業績不振の貸付先の倒産を防止するため、やむを得ず行われることで、合理的な再建計画に基づくものであるなど、その債権放棄をした事について、相当な理由が認められるときに当たるのかどうかにかかっているのです。
その結果、このような条件を満たすのかどうかは具体的なケースによって変わるという事になるので、明確ではないのです。
なので、金融機関としてもこのような条件を満たしているのかどうかを判断しかねるということになり、債権整理を躊躇してしまいがちです。
The following two tabs change content below.

大江戸下町法律事務所
当事務所は、平成16年4月に開業し、弁護士1名、事務スタッフ3名でスタートしました。平成22年には、業務充実のため法人化し、支部を構え、現在弁護士8名(東京7名、柏1名)及び事務スタッフ10名強にて運営しております。いずれのオフィスも駅近で交通至便です。
|当事務所の弁護士紹介はこちら
事務所名は、先祖代々下町で暮らしてきた私の発想(我儘?)でつけました。
当事務所は「正しい人を守る」ための弁護士活動をしています。お金持ちにも、正しい人悪い人いずれもいますし、弱者にも、正しい人悪い人いずれもいます。いずれであっても、正当な人の正当な利益のために働きたいと考えております。
子細なことであっても結構です。お気軽にご相談ください。

最新記事 by 大江戸下町法律事務所 (全て見る)
- 2度目の自己破産であったが免債を得ることができた事例 - 2022年3月12日
- 自己破産で依頼を受けたが、時効により破産申立することなく解決した事例 - 2022年3月12日
- 免責が認められる場合とは? - 2021年6月9日
関連記事はこちらをご覧ください。
